羽生結弦SP世界最高記録更新!右足首負傷もロシア大会優勝

前日のSPで2戦連続で世界最高記録を更新させ、110.53点という高得点をもって臨んだフリー。

GPフィンランド大会に続く2戦連続の“世界新”は、2位に20点以上の大差をつけていて、ファイナルを除いた初の同一シーズンGPシリーズ2連勝と、日本男子単独最多のGP10勝に王手をかけていた。

本人はほぼ手中にしていることを疑わなかっただろう。

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自己最高更新のショートプログラム

2週間前、フィンランドで世界最高得点を出したばかりなのに、ここでまた記録を3.84点更新して110.53点を記録。
演技構成点の「曲の解釈」は、9人中2人のジャッジが10点満点をつけた。

総立ちの観客の拍手と歓声の中、羽生は空を見つめた。
「ノーミスと言っていいんじゃないかな、ちょっとほっとしている」

難易度の高いジャンプを飛ぶリスクが高くなる代わりにGOE(出来栄え点)が7段階から11段階となり選手の評価が高くなった新改正ルール。
冒頭の4回転サルコー、3回転半ジャンプ(トリプルアクセル)と華麗にジャンプを重ね、得意のステップ、後半加点されるジャンプも見事に決め自己最高得点更新でSP首位発進をした。

羽生結弦に起きたアクシデント

フリー演技当日の公式練習で曲を流して滑り始め4回転ループの着地に失敗し転倒。
またか。
昨年のNHK杯が脳裏をよぎっただろう。

チームドクターの触診、視診で右足首の前下脛腓(けいひ)じん帯損傷、三角じん帯損傷、腓骨筋腱損傷疑いと診断され、腫れ上がった患部のアイシングと圧迫の処置が繰り返される。
本来なら、右足を固定した上での絶対安静。

それでも痛み止めを打ってフリーに挑戦した羽生結弦に世界は驚いた。

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フリー曲「Origin(オリジン)」に込めた想い

この曲はロシアの絶対王者エフゲニー・プルシェンコの伝説の演目「ニジンスキーに捧ぐ」をアレンジしたもの。

芸術点満点を獲得したこの曲を是非使わせて欲しいという羽生からの申し出を快諾してくれたプルシェンコに向けて頑張ると話していたという。

彼の国ロシアで初めて挑戦したかったのだろう。

プルシェンコは自身のインスタグラムで「本当に君を誇りに思う。残念なことにモスクワで演技を見ることは出来なかったけれど、友人ユヅの早期回復を願っている」とメッセージを送っている。

フリーで「がんばった」と右足を褒めた

SPでのダントツ首位から優勝はほぼ間違いなし、と思われていたところでのアクシデント。

医師からは今後のために棄権を勧められていた羽生結弦が決断したのは痛み止めを打っての強行出場。

右足をフォローするためのプログラム変更で冒頭の4回転ループを外し、4回転サルコウ~4回転トゥループ~3回転ループ~3回転フリップ~4回転トゥループ+3回転サルコウとジャンプ構成を組み、後半のジャンプでミスが出たもののフリーの得点は167.89点。

合計278.42点で日本男子初のGP 10勝目を達成。

上位6選手が出場できるグランプリファイナルの出場も決めた。

友野一希は238.73点で3位に入り、GPシリーズ初の表彰台。

最後まで演じ切った羽生は、悔しさをにじませながら「がんばった、がんばった」と右足首にエールを送っていた。

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タチアナ・タラソワの言葉

演技終了後、羽生結弦の演技に本来ならその感動の解説を伝えるべきロシアの重鎮タチアナ・タラソワは思わず立ち上がり拍手を送っていた。

そして解説に戻ると手放しで称えた。

「知っていますか? 私はコメントをしなければならないことを忘れてさえいました。なぜならハニュウが闘ったから、とてつもない大きな喜びを得ていたからです」

「今日の練習での転倒と怪我でもちろん、少し心の動揺があったでしょう。でも彼は闘った。引き下がらなかった。彼は試合に出た。私たちは地平線の彼方に彼とともにある秘められたものを見ている。なぜなら私たちは自分たちの将来を(そこに)見ているから、本当にありがとう」

「私に与えてくれた喜びと私が得た授業に感謝します。私はこういった私たちのために未来を切り開いてくれる人を愛しています」
そしてミックスゾーンで優しく抱きしめた後、右腕をぎゅっとつかみながら「足は大丈夫? よくがんばったね」とねぎらいの言葉をかけた。

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羽生結弦の言葉

「情けない演技だったので申し訳ない気持ちでいっぱいです」

「頑張ったかなと思っています。足首が緩いので、もうどうしようもないんですけど。これも羽生結弦だということを考えながら、これからも応援してくださったらうれしいなと思います」

「今回、作戦としてはよかったと思いますので、こういう状態でもある程度飛べるというのは良かったと思います」

「悔しさがメラメラなので、これからまた頑張ります」

タラソワさんにはよくがんばったではなくて、素晴らしかったよと言ってもらえる演技をしなくてはいけなかった。今日プルシェンコさんはいないですけど、タラソワさんとか、ヤグディンさんとか、僕がスケートに熱中するきっかけとなった方々がいるロシアの地でこういう結果になったのは悔しいです」

ロシアへの強い思いを込めて試合に臨んでいただけに、一層悔しさがこみ上げたのだろう。

最後にまとめ

今回の直前練習での転倒による怪我で精神的にもかなりのダメージを追ったはずの羽生結弦の不屈の精神力をまた見せ付けられた気がする。

前日のSPでの高得点があったからこそがんばれたのだろうか。
「ハニュウを超えられる人間は、この世に1人だけ…それはハニュウだ」
SP世界最高得点更新を受け、こんな粋な賛辞を送ってくれた海外の記者がいた。